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2019.03.12JALがLCCに参入!JAL vs ANAの競争激化。日本-アメリカをLCCが飛ぶ日はすぐそこに

Summary

2019年3月8日、JALは新たに中長距離国際線に参入するLCC子会社の名称を発表しました。名前はZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー。以下「ZIPAIR」)です。ライバルのANA傘下のLCCであるピーチ・アビエーションも2020年に中長距離国際線に参入方針で、先行する海外LCCも含め、LCCの競争が激化しています。日本国内にはどのようなLCCがあるのか、ZIPAIRの狙いは何か、詳しく解説します。

近距離専門だったLCCが中距離路線に進出してきている。JALは子会社ZIPAIRでそれに対抗

 

LCCとはLow Cost Carrierのことで、格安航空会社を指します。JALやANAといった既存の大手航空会社をレガシーキャリアと呼びますが、LCCはレガシーキャリアと違い、徹底してサービスやコストカットを行うことで低価格での航空券販売を実現しています。日本のLCCは主要4社です。

1. ジェットスター・ジャパン
JAL、豪カンタス航空、三菱商事の合同出資により設立されたLCC
2. ピーチ・アビエーション
3. バニラ・エア
ピーチ・アビエーション、バニラ・エア両社ともANA傘下のLCC。2019年度を目途に経営統合する見通し
4. 春秋航空日本
中国の春秋航空傘下のLCC

※ 北海道国際航空 AIR DO(エアドゥ)、スカイマーク、スターフライヤー、ソラシドエアなどの航空会社は、ミドルコストキャリア(MCC)やフルサービスキャリア(FSC)、レガシーキャリアなどに分類されることが多いため、LCCからは除外

2012年にピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパン(後のバニラ・エア)、ジェットスター・ジャパンが運航を開始して以来、LCCは市場に浸透し、多くの利用者を獲得してきました。特にANAはピーチ・アビエーションをいち早く設立し、さらにエアアジア社と業務提携を行い、エアアジア・ジャパンを発足させました。その後は関係を解消し、エアアジア・ジャパンはバニラ・エアとして事業を存続させています。2019年を目途にANAは両社を統合し、ピーチ・アビエーション名で新体制を発足させる予定です。各社の業績(営業利益)は下図の通りです。

(各社の官報データより作成)
(ピーチ・アビエーションおよびバニラ・エアは3月決算、ジェットスター・ジャパンは6月決算、春秋航空日本は12月決算)

各社とも、近年の営業利益は横ばいで推移しています。各社の課題は価格競争です。日本のLCCは、国内の近距離路線を小型の航空機で効率よく飛ばすことで、低価格を抑えることに成功しています。裏を返すと、飛行時間が長くなるほど航空機を効率的に何度も飛ばすことはできないので、LCCにとって中長距離路線で利益を出すのは難しいと言われてきました。しかし、競争激化によって近距離路線でこれ以上収益を高めることが難しくなっていること、航空機の進化などで中距離路線でも効率的に飛ばすことができるようになってきていることなどから、LCCが中距離路線へとシフトする動きを見せています。海外、特に東南アジアのLCCが積極的に中長距離路線に進出しています。例えばシンガポールのLCCであるスクート・タイガーエア社や、マレーシアのLCCであるエアアジアX社は、関西国際空港と米ハワイ・ホノルルを結ぶ路線を相次いで就航しています。ANA傘下のピーチ・アビエーションも、2020年ごろを目途に中長距離国際線に参入する予定と報道されています。中長距離路線はLCCにとって採算が取りにくいものの、勢力を拡大するLCC各社に対抗するために大手レガシーキャリアの進出が相次いでいます。JALやANAの動きもそうした背景があります。

ZIPAIRが狙うのは日米間の太平洋路線

 

日本のLCCとして初の中長距離国際線を目指すZIPAIRは、3月8日に国土交通省航空局に航空運送事業の許可を申請しました。これが認められると、航空会社として営業できるようになります。当初ZIPAIRは、JALから譲り受けた2機のボーイング787-8型で営業を開始するようです。この2機でまずはバンコク、ソウル向けの2路線からスタート予定と発表されています。ただ、ZIPAIRが目指すのは、LCCとして初の日米間(日本からアメリカ大陸)フライトや、日欧間フライトです。ZIPAIRは、早ければ就航開始から1年後の2021年にETOPS(※)を取得し、米国西海岸路線の就航を目指すようです。

(※)長距離フライトの場合、ETOPSと呼ばれる基準を満たす必要があります。飛行中に何らかのトラブルでエンジンが1基しかなくなった時に、残りの1つのエンジンでどれくらい飛行しても良いのかを定めた基準です。特に、海を越える長距離の洋上飛行を行う路線では必須といえる基準です。

日本でLCCが盛り上がりを見せた2012年ごろ、JALは経営再建の時期と重なっており、新規事業への投資が抑制されていました。LCCに手を出すどころではなかったので、LCC事業への取り組みは各社よりも遅れていました。JALは今回のZIPAIRで、大きく巻き返しを狙っているものと思われます。アジアと北米を結ぶLCCが成り立つかは未知数です。また、ZIPAIRは就航2年で黒字化を目標に掲げていますが、中長距離LCCとしては高いハードルと言えます。顧客の心を掴む低価格を実現しながら堅実な経営ができるのか、ZIPAIRの挑戦が始まります。

 

JALとANAの国際線開拓は加速。両者の業績も株価も堅調に推移

 

LCCを見ても分かるように、成長の余地が限られる国内線ではなく、特に国際線においてJALグループとANAグループの競争は激しさを増しています。

近距離はLCCの台頭が著しいため、両者ともに長距離路線の直行便をより多くの地域に就航することが鍵となりそうです。特に、昨今の訪日外国人の増加や、アジア諸国の経済発展を鑑み、インドまでを含めたアジア方面に両社とも力を入れているようです。日本は地理的に見ても北米とアジアを結ぶ経由地に適した位置にあるため、アジアー北米ラインの需要取り込みが鍵となりそうです。

アジアの中でも、インドは特に潜在需要が大きく、成長が期待できます。インドは経済成長と規制緩和により、航空市場が大きく発展しています。ANAはすでにムンバイ、デリーに乗り入れており、2019年秋~2020年春ごろにはインド第4の都市であるチェンナイにも就航させる計画です。一方でJALも、2020年夏を目途に、バンガロールへの就航を計画しています。チェンナイやバンガロールは大都市ですので、安定したビジネス用途を見込むことができます。

そもそも、航空会社の業績は、テロや戦争・紛争などの地政学リスク、原油高や円高・円安といった為替リスクなど、会社がコントロールすることができない要因によって大きく左右されます。LCCなど競争が激しくなっていることも重なって、JAL、ANAともに、強い危機感を持って新しいビジネスの創出に取り組んでいます。

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