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2019.03.21【3分で理解】結局ブレグジットって何?英国経済は悪化する?!

Summary

英国がEUから離脱するかもしれない、ということが話題になっていますが、詳しくは分からない…理解するにも、どこから手をつけたらいいの…?そんな人のために、ブレグジットについて分かりやすく解説します。

英国がどうやってEUから離脱するか、揉めに揉めてまだ決まっていない

 

ブレグジットって何?
そもそもBrexit(ブレグジット)とは、「Britain(英国)」と「exit(退出)」という言葉から作られた造語です。英国がEUから離脱するかどうか、という一連の議論で使われます。

EUって何?
EUとはEuropean Union(欧州連合)の略で、欧州のたくさんの国が集まった地域共同体です。ヨーロッパでは多くの小国が陸続きとなっていますので、貿易や人の移動を簡単にするために、まるで1つの国のように活動しています。現在の加盟国は、英国を含め28か国に達しています。英国は、1973年、EUの前身のEEC(欧州経済共同体)の頃に加盟しています。

英国はどうしてEUを離脱したいの?
英国がEUに加盟しているとデメリットが大きいと不満を持つ英国民が多くなったからと言われています。ざっくり説明すると、下記の2点が特に英国民の不満になっていたと言われています。
・英国への移民流入が多い
・EU加盟に対する経済的デメリットが大きい

英国への移民が問題なの?
EU域内の労働者の移動が容易になったことで、英国に来る移民は増えていました。特に2015年頃からは、シリア内戦の影響で中東からEUに大量の難民が流入していました。これによって、英国の人々、特に低所得層は「英国人より賃金の安い移民が、英国人の職を奪っている!」と不満を募らせており、英国政府に移民が増えすぎないようにコントロールするよう、批判を強めていました。

元々、英国は独立心が強く、歴史的にも欧州の共同体化に対して懐疑的です。英国はEU加盟国でありながら、通貨はユーロを使わずポンドを使うなど、一定の独立性を保っています。英国はかつて、EEC(欧州経済共同体、EUの母体となった団体の1つ)に対抗してEFTA(欧州自由貿易連合、1960年設立)を結成・主導したこともありました。そうした歴史的な背景も重なって、移民受け入れに神経質になっているようです。

EUってデメリットがあるの?
EU加盟国は、原則としてGDPの1%の拠出金をEUに支払うことになっており、EU内でドイツに次ぐ大国である英国の負担は大きくなっています。さらに、EUでは財政力のある富裕国(英国、ドイツ、フランス等)と財政力の乏しい国(東欧、ギリシャ、スペイン、イタリア等)との間で格差が広がっており、富裕国が財務力の乏しい国を支える傾向が強くなってきています。例えば数年前にギリシャ危機が起きた際は、富裕国が主導しギリシャに援助を行いましたが、そうした負担に反発が生まれています。

いつEU離脱の方針が決まったの?
キャメロン前英国首相は、マニフェストで「2017年までにEU残留かEU離脱かを問う国民投票を実施する」と公約していました。キャメロン元首相が率いる保守党の支持層には離脱派が多く、政府も離脱派の声を無視できなくなっていたのです。そして公約通り、英国は2016年6月23日に国民投票を実施しました。当時、EU残留が多数派と言われていましたが、いざ国民投票を実施すると離脱派が勝ってしまいました。しかし、すぐに離脱することになったわけではなく、「どうやってEUを離脱するか」の交渉をEU各国とまとめてから離脱することになりました。

国民投票の後はどうなったの?
国民投票の後、キャメロン首相は辞任し、テリザ・メイ氏が首相となって、EU離脱の交渉を行ってきました。メイ首相とEUとの間でなされた主な合意は以下の通りです。
・EU諸国出身で、現在英国で暮らしている人や、英国出身で、現在EU諸国で暮らしている人の影響について(権利を保証し、これまで通り暮らせるようにする)
・英国とEUの貿易関係について(英国EU間で新たに通商協定を結び、影響が少ないようにする)。
・英国がEUから離脱する際に支払う清算金について(約5.7兆円)
・英国と北アイルランド地域の国境問題について(物理的な国境管理はしない)

英国はいつEUを離脱するの?
当初は2019年3月29日に離脱する予定とされていました。ところが、メイ首相とEU間で合意した内容が英国議会で否決され続けているので、期限が延ばされることになりました。

どうして英国議会はEUとの離脱協議内容を否決しているの?
最大の論点は、北アイルランド問題と言われています。アイルランド島は、北部は英国領の北アイルランドで、南部が独立国アイルランドとなっており、北アイルランドもアイルランドもEUに加盟しています。ところが英国がEUから離脱するとなれば、英国領北アイルランドとアイルランドの間で経済活動や人の移動に制限が起きるため、何らかの管理が必要になります。そのため、今後、国境管理をどうするのかという課題があります。

北アイルランドを巡っては、英国からの独立およびアイルランドとの統合を目指す一派と、独立反対派の間で長らく紛争が続いてきました。それゆえ、北アイルランドとアイルランドとの国境というのはとても神経質な話題であり、下手すると再び北アイルランドを巡って紛争に発展するリスクすらあるのです。

メイ首相は、EU側との交渉で、もしアイルランド問題についての解決策が見つからなければ、英国領北アイルランドを実質的にEUに部分残留させる措置(=バックストップ措置)を盛り込みました。アイルランドの国境管理が不要になるというプランを立てたわけです。ところが、これはこれで「EUから離脱したいと言っているのに、離脱できていないじゃないか!」という批判が多く、否決されることになったのです。

メイ首相は手を尽くして着地点を探っていますが、効果的な解決策を見出すことができていません。そのため、「合意なき離脱」になるのではないかと混迷を極めています。

合意なき離脱って何?
EUとの離脱交渉がまとまらず、何の取り決めもないまま離脱してしまうケースを指します。EU、英国は両者とも「合意なき離脱」がもたらすデメリットを危惧しており、企業や国民向けの文書を公表しています。「合意なき離脱」が起こった場合、今まで不要だった税関手続きやビザ、パスポート、居住管理などが急に発生するため、大きな混乱が予想されます。

EUから離脱すると英国経済は悪化する恐れがある

 

既に、ブレグジットが発端で、英国民の生活が苦しくなっている、という報道がなされています。英ネーションワイド社によれば、住宅費や光熱費など必要な生活費を支払うと、1日で使えるお金が6.6ポンド(約960円)未満となって英国人は、調査対象の41%の人数を占めたそうです。住宅ローンや生鮮食料品、燃料など出費が避けられない支出は過去1年で6%増加。英国での平均給料の約8割が生活費で占められているとのことです。英国民の給料の大半が生活費に消えてしまっていると伝えています。

EUは、貿易や人の移動を簡単にしましょうということで作った連合のことです。EUによって、貿易も人の移動も活発になり、欧州経済は大いに発展しました。そのEUから離脱するということですから、英国の将来は大丈夫か?と、英国の先行きに不安を感じる人が増え、大きくポンドが売られました。

(為替の推移データより作成)

ただし、イングランド銀行も、ブレグジットによって英国の景気が大きく悪化することを心配したので、速やかに金融緩和(利下げ)をして、景気を下支えする政策を打ち出します。金融緩和の効果もあり、英国の景気は何とか踏みとどまっています。

(各種報道から作成)

景気が何とか踏みとどまったものの、今度はインフレの心配が起きます。英国は、恒常的に貿易赤字国です。生活用品や食料品など、日常で必要なものの大部分を輸入に頼っています。そのため、ポンド安になれば輸入物価が上昇してしまうことになり、国民の生活を直撃してしまいます。「今までフランス産の小麦は5ポンドで買えたのに、今は8ポンド払わないと買えない」ということが起きるためです。

ブレグジットが起きて、英ポンドは、対ドルでも対ユーロでも安くなりました。これを機に、それまでは1%を下回る水準で推移していたインフレ率がぐんとアップしています。そのため、イングランド銀行は、今度はインフレを抑えるために金融引締(利上げ)に転じます。

(各種報道より作成)

現在、ようやくインフレ率の上昇が緩やかになりましたが、それでも以前に比べ、物価は高い水準にあります。これが国民の生活を直撃しているわけです。EUに加盟しているとデメリットがあるのではないか、ということでEU離脱を決定したものの、離脱後の英国経済の見通しは明るいわけではない、というジレンマが浮き彫りになっています。

議論が続くが結論は見えない。次の期限までにブレグジットがまとまる保証はない。

 

まだ何も決まっていません。そもそも英国が本当にEUを離脱することになるのかさえ、確定的ではありません。ただ1つだけ確定したことは、当初予定された2019年3月29日には、英国はEUから離脱しないということです。

メイ首相は当初、2019年6月30日までの期限延長を求めていましたが、EU側は2019年5月22日を新たな期限としています。ただし、EU離脱協定案が英国議会で承認されることが依然として難しいことはEU、メイ首相ともに理解しており、5月22日以降にまた期限延長される可能性も残っています。

メイ首相は、「議員は代案もなしにブレグジット案に反対するだけ。他にももっと色々と考えるべきことがたくさんあるのに」と、議会を批判しています。メイ首相、英国国民、EUなど、関係者もウンザリしているところがあるようです。

いつ、どのような形で、英国がEUから離脱することになるのか、現在もメイ首相と英国議会の議論は続いています。

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